
これまでの歩み・・・<年譜>
平成14年5月、歌舞伎町のビルの4階に「新宿歌舞伎町駆けこみ寺」は開設した。それから現在までの4年間に寄せられた相談の数は、わかっているだけでも8500件を超えている。
「駆けこみ寺」の相談活動には電話相談と面談との二つがあり、内訳は電話相談が約7000件、面談が約1500件。玄所長をはじめ、ボランティアや相談員が、問題を抱えた人々の相談に応じている。
**
地区別の相談件数を調べると、救護センターの場所が新宿・歌舞伎町ということもあり首都圏在住者が多いが、北海道から沖縄まで、全国から相談者が問題解決のため「駆けこみ寺」を訪れている。当初予想していた繁華街特有のトラブルは、思いがけず少なかった。
相談者の年齢は、高校生から高齢者まで。男女の比率では若干女性が多いが、若い男性が玄所長に魅せられてやってくることも多い。国籍は、歌舞伎町ならではで多国にわたる。
**
相談内容も多岐にわたっているが、時の流れにより変遷が見られる。DV(ドメスティック・バイオレンス)法が制定された当初は、自分もそれに該当するのではないかという相談が多く持ち込まれ、無数の潜在的な被害者を表出させるきっかけとなった。しかし、DVの意味の理解はそのころまだ浸透しておらず、暴力一般と誤解している人が多かった。また、金銭トラブルの相談件数はいまも最も多いが、内容が複雑化していくのと、自己破産に至るような高額な多重債務が多くなっていった。
**
児童虐待、不登校に対しては、児童相談所などと連携をとっている。これらの問題には行政や警察、弁護士なども対応してくれるようになったが、ひきこもりと家庭内暴力に関してはなかなか相談窓口がなく、親が何十年も忍耐を強いられている実態がある。
どの相談内容も今日の日本では社会問題化しているため、法が整備されはじめ、行政の取り組みも充実してきてはいる。しかし、一方でストーカー被害や自殺願望者は増加傾向にある。また、被害妄想やうつ病、パニック症候群などの精神的障害を抱えて助けを求める人が後を絶たない。
**
行政には全国各地で均質化されたサービスを提供することが求められるため、専門性や縦割り対応ゆえ重層化されたトラブルにすべて対応する窓口がない。
一方で「駆けこみ寺」は、民間の相談所である特質を生かし、断る自由を持っている代わりに、人間そのものをまるごと受け入れる柔軟さと身軽さを特徴としている。問題の奥底に潜むその人の生命力に勇気と知恵を与えるその独特な「駆けこみ寺」流問題解決方法は、玄所長のパーソナリティに負うところが大である。